北海道大学医学部は、旧帝大医学部の一つでかなり難易度が高い医学部になります。
今回は、偏差値や倍率から北海道大学医学部の難易度をテーマにお話をさせていただきます。
目次
北海道大学医学部とは?
北海道札幌市の札幌駅徒歩5分で構内に入ることができる大学の医学部。
国内最高の教育学府である東京大学の医学部を卒業した医師が全国的に指導することを目的として作られた旧帝国大学に属しております。
現在では旧帝国大学という名前の浸透力は落ちていますが、医学部受験者のほとんどは認識しており、その地域、または近隣の関連病院を多く押さえているという現状です。
あと1年ほどで設立100周年を迎える歴史のある大学と言えます。
医学部を多く有している関東および関西だと、関連病院などの都合から出身大学を元より差別する傾向が多く見られる中、北海道大学医学部を卒業した医師が関東、関西で働く場合はあまりそういったことに囚われることなく過ごすことができると聞いたこともあるほどです。
まず、何より立地が良く学生生活は閉鎖的にならず過ごしやすい大学の1つと言っても良いでしょう。
北海道大学医学部の偏差値は?
各予備校によって異なりますが、2019年における2つの大手予備校(東進,河合塾)のデータをお示しします。
北大医(偏差値) | 北大医(センター得点率) | 東大理Ⅱ(偏差値) | 東大理Ⅱ(センター得点率) | |
東進 | 66 | – | 67 | – |
河合塾 | 65.0 | 89 | 67.5 | 90 |
また、俗に言う足切り(第1段階選抜)は3.5倍を越す場合にのみ実施すると記載されておりますが、基本的に3.5倍程度となっておりますので足切りはあまり実施されていない印象です。
北海道大学医学部の倍率は高い?
募集人員 | 受験者数 | 競争倍率 | 合格者数(入学者) | |
平成30年度 | 97 | 322 | 3.3倍 | 102(102) |
平成29年度 | 97 | 318 | 3.3倍 | 102(102) |
平成28年度 | 97 | 361 | 3.7倍 | 102(102) |
平成27年度 | 97 | 278 | 2.9倍 | 102(102) |
平成26年度 | 97 | 320 | 3.3倍 | 101(101) |
注意)北海道大学医学部医学科は一般入試(前記入試のみ)97名、AO入試5名となっています。しかし、AO入試の条件が厳しく(最低条件としてセンター試験9割)ほとんどのAO入試合格者が少なく(6年間で1,2人程度)、AO入試枠の5名がそのまま一般枠に加算され、一般入試102名となることが多い印象です。
ですが、上の資料では97名で計算しております。
下記でも説明しますが、競争率自体は低いですが、競争率が大事なことではありませんので注意しましょう。
北海道大学医学部の難易度は偏差値や倍率から考えると・・・
これは駿台予備校のデータで去年の受験データ(合格者平均、最高最低得点等)です。
満点 | 最高得点 | 最低得点 | 合格者平均得点 | |
北大医学部 | 825 | 727.25 | 642.34 | 671.38 |
後に各々の点数を示しますが、825点の内、300点がセンター試験、525点が二次試験(面接75点含む)となっています。
仮にセンター試験が90%、面接が50点(おそらく平均がこれくらい)だった場合、二次試験で78.1%の得点率、最低でも72%の得点率を要求されます。
確かに、問題難易度は基本的なものが多いですが、どの科目でも分量が多いので簡単なものではありません。
また、偏差値とは基本的に前年の受験生の質、競争率に左右されるものですのであてにはならないと考えても問題ないと思います。
しかし、強いて見るべきポイントを言えば偏差値が1しか変わらない大学はその1という数字にかなりの競争を含んでいることを理解すべきかと思います。
総合的に見て、北海道大学は難易度の高い大学と言えるでしょう。
ほとんどの受験生は競争率に目が行くことだと思いますが、どのレベルでの競争率なのかということが大事であり、「北海道大学の3倍」と、例えば「旭川医科大学の7倍」とは層のレベルが割と極端に違うと言えます。
数字に惑わされないということが受験では大事です。
また、かつては理科3科目(二次試験で受ける2科目以外の1科目をセンター試験で必ず受けること…という条文)でしたが、2015年の入試よりそれが撤廃されたことにより、さらに全国的に受験者が増え、競争が激化したとの報告がありました。
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北海道大学医学部の入試概要
具体的な点数配分を示します。
募集人員 | 102名(AO入試5名/一般入試前期97名)・ | |
得点 | センター試験300点 | 二次試験525点(内面接75点) |
センター試験 | 国語 | 80点 |
数学 | 60点 | |
英語 | 60点 | |
理科(2科目) | 60点 | |
社会(1科目) | 40点 | |
二次試験 | 数学:120分 | 150点 |
英語:90分 | 150点 | |
理科*:150分 | 150点(75点×2科目) | |
面接 | 75点 |
*:個別試験の理科においては物理が必須となっている。残り1科目は化学または生物。
上記を見て分かる通り、センター試験において文系科目(国語・社会)に傾斜がかかっているのがわかるでしょうか?
北海道大学医学部の受験対策とは?
私自身の受験体験および大手予備校にて5年間浪人生を指導してきた経験を元に、具体的に北海道大学医学部医学科の受験対策を下記に説明いたします。
優先順位より1.2.と順番を振りたいと思います。
1. センター試験
何より医学部の受験において大事なことです。
特に浪人生に多い傾向ですが、「二次試験は現役生よりやっているからここで差をつけれるからセンター試験は大きく対策しなくていいや」という人を多々見受けます。
まず、先に伝えておきたいことは、センター試験の点数でついた順位がほとんどの場合で受験合格時の順位になることです。
さらに、モチベーションという面において、センター試験を取れた人、取れなかった人で大きな差ができます。
取れた人のモチベーションとしては「センター試験が取れた⇒合格するかもしれない⇒迷わず北海道大学を受けよう⇒苦手をしらみ潰しにやれば合格しそう」というプラスのモチベーションになります。
しかし、取れなかった人の考え方は「点数取れなかった⇒まずどこの医学部を受けるか」というリサーチの時間、「その大学で何点取ればいいのか?」というようなシミュレーションにそもそも時間を費やしてしまうでしょう。
すると、本来センター試験で点数を取れた人より勉強しなければならないところを遅れを取る形になります。
また、センター試験で点数が取れなかった人は二次試験においてほとんど失敗が許されないために難易度の高い問題を飛ばさないで解き続け、時間内に問題を解ききれなくなるといった問題など探せばキリが無いほどのデメリットを生み出します。
センター試験をバカにせず、心して対策していきましょう。
目安としては9月から2〜3割、10月3〜4割、11月5割ほどの分量でセンター試験の対策をしても良いと思います。
特に、国語と社会に傾斜がかかっているのでそちらをメインにっと言いたいところですが、北海道大学医学部以外の国立も視野に入れた場合、満遍なくセンター試験の対策を行っておくべきだと思います。
私の目標点数と実際の点数を記すと以下の通りです。
目標点数 | 実際の点数 | |
国語 | 160点 | 166点 |
数学 | 190点 | 194点 |
英語 | 190点 | 192点 |
理科1科目目(物理) | 95点 | 92点 |
理科2科目目(生物) | 95点 | 100点 |
社会(世界史) | 85点 | 80点 |
合計(傾斜後300点満点) | 271.8(90.6%):駿台予備校リサーチで25位 |
2. 二次試験
ここで詳細は伏せますが、全科目基本的な問題が出題されますが、とにかく時間が足りないように作られております。
特に数学と理科に関しては問題を見た瞬間に解法が出てきて解き始めていないと終わらないくらいには時間が足りません。
この上で大事なことは
①基本的な問題に対する解法を瞬時に浮かべることができること、
②(特に数学で大事な能力)設問(1),(2)を踏まえ、(3)を解くことができるかといったところ
にあると思う。
①に関しては、基本的な問題集を繰り返しといて、その問題集のどの問題も見たら瞬時に解けるくらいに練習すること。
②に関しては、過去問を通して練習するのが一番良いと思われます。
数学も理科もそうですが、わざわざ設問を用意したのは次の問題を解くための手がかりを与えるためです。それをしっかりと理解しなければ、解けないようにできています。
特に北海道大学医学部の問題はその傾向が強いです。
逆に京都大学は設問を設けず最初から設問の最後の問題クラスのものを出題してきます。
それに関しては自分でどのような手段を選ぶのかというのを決めるもので、簡単に言えば自分で設問を作りながら解き進めていくといったものです。
北海道大学であろうが京都大学であろうが、要は行間を読む能力というものを必要としますので、過去問で練習していきましょう。
この能力が付いて、そこから3.の面接対策に進んでも良いくらいには二次試験対策は大事なものです。
3. 二次試験:面接
多くの受験生が面接対策に時間をかけすぎているように感じる。
確かに点数を取りたい部分かもしれないが、採点者という客観的点数の要素が強く、空回りすることが多くコストパフォーマンスという面において、重要度は低いと言える。
面接の対策をするくらいならば、苦手分野を強化し、他の受験生に差をつけないようにする勉強の方が大事だと思われる。
ただ、面接対策を0で臨むべきということではなく、最低限聞かれうる質問を自分なりに作っておく事が大事だと思われる。以下、どの大学でもされる質問をいくつか挙げておく。
・なぜ医師を志望したのか
・なぜうちの大学医学部を受験したのか
・将来はどのような医者(臨床か基礎か、具体的な専門は?)
・高校時代頑張ったこと
・最近気になった医学ニュースは何か
・どのような医師になりたいか(特に、人柄の優れた医師か腕の優れた医師か)
ただ、これらを毎日5分程度勉強時間に組み込む程度で良いと思います。
それ以上は時間の無駄だと思いますし、やはり、コストパフォーマンスの面から考えても5分以上面接対策をしてしまうと、二次試験の勉強時間を圧迫してしまうと思います。
この記事をかいた人
ニール
浪人を経て、北海道大学医学部合格。在学中に、大手予備校での個別指導や家庭教師として5年間浪人生を指導。
医学部志望者12人中10人合格という驚異の指導実績を誇る。
専門科目は数学、英語、理科、面接、小論文対策 。