医師にとって絶対に知っておかなければいけない法律が医師法です。
知らなかったじゃすまないものなので、必ず主要な条項くらいは知っておきましょう。
今回は、医師法第20条無診察治療等の禁止をわかりやすく解説します。
医師法 第20条 無診察治療等の禁止とは?
医師法第20条に規定されているのは「無診察治療等の禁止」です。
以下が実際の法律になります。
第二十条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せ んを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。
出典:医師法
医師法における診察の定義とは以下のように一般的に考えられています。
触診,聴診,問診,望診その他手段の如何を問わないが,通説では,現代医学からみて疾病に対して一応の診断を下し得る程度の行為でなければならない, とされている。
通例の場合では,これらの各診察手段のどれか1つを行えばそれで足り
るということではなく,いくつかの手段が互いに関連して行われてこ
そ適切な診察となり,同法でいう「診察」に該当すると解すべきである。
出典:電話による無診察治療
直接会うことなく電話で触診や聴診をすることは不可能です。
そのため、電話で正確な診断を下すことは一般的にできないと考えられます。
なので、処方をする際は必ず診察をした上で処方をすべきです。
医師法 第20条違反の罰則は?
医師法20条に違反した場合の罰則は以下のように、50万円以下の罰金と医師法に規定されています。
罰則もありますし、患者さんに適切な医療を提供するために無診察治療はしないように注意すべきです。
では、なぜ無診察治療が禁止されているのでしょうか?
無診察治療は患者を守るために禁止されている?
無診察治療が禁止されている理由は、患者の安全を守るためであります。
また、正しい医療を提供するためでもあるのです。
医師はちゃんと診察をして診断を行わなければ、患者の重大な疾患を見逃す可能性もあります。
いくら患者が電話などでいつもと同じ症状だと言ったからといって、医学の素人である患者は所見を見逃しているだけかもしれないからです。
聴診や触診、その他の検査をすることで初めて診断がつく疾患もたくさんあります。
そのため、医師はちゃんと患者を直接診察した上で診断を下し、処方するという手順を守らなくてはいけないのです。
細かい判例が知りたい方はこちらをご覧ください。