医師の訴訟リスクが高い科をランキング形式でまとめました。
診療科を決めるのに、訴訟リスクが高い科は嫌だなという方の参考になれば幸いです。
日本の中で訴訟リスクが高いといってもアメリカに比べると全然マシでしょう。
訴訟リスクが高い科でも一生訴訟に巻き込まれない可能性も全然あるくらい低いと思います。
あくまでも参考程度にしてくださいね。
目次
- 医師の訴訟リスクが高い診療科ランキング
- 12位 小児科 医師1000人あたり訴訟件数0.3件
- 11位 麻酔科 医師1000人あたり訴訟件数0.6件
- 10位 皮膚科 医師1000人あたり訴訟件数1.0件
- 9位 眼科 医師1000人あたり訴訟件数1.1件
- 8位 泌尿器科 医師1000人あたり訴訟件数1.3件
- 7位 耳鼻咽喉科 医師1000人あたり訴訟件数1.5件
- 6位 内科 医師1000人あたり訴訟件数1.9件
- 5位 精神科(神経科) 医師1000人あたり訴訟件数2.0件
- 4位 整形外科 医師1000人あたり訴訟件数3.4件
- 3位 外科 医師1000人あたり訴訟件数4.1件
- 2位 産婦人科 医師1000人あたり訴訟件数4.8件
- 1位 形成外科 医師1000人あたり訴訟件数7.1件
- まとめ
医師の訴訟リスクが高い診療科ランキング
医事関係訴訟事件(地裁)の診療科目別既済件数 平成28年における訴訟件数と診療科ごとの医師数(平成26年)から医師1000人あたり訴訟件数を算出し、訴訟リスクが高い診療科ランキングを作りました。
12位 小児科 医師1000人あたり訴訟件数0.3件
小児科は訴訟リスクがかなり低い科です。
医師1000人あたり訴訟件数はわずか0.3件でした。
これは内科の訴訟件数の6分の1以下です。
小児科医は不足しているといわれているので、訴訟リスクが低い科を選びたいという方には小児科がおすすめだと思います。
11位 麻酔科 医師1000人あたり訴訟件数0.6件
麻酔科は手術に関わるので、訴訟リスクが高そうなイメージがありますが、実はめちゃくちゃ訴訟リスクが少ない診療科なのです。
しかも、フレキシブルに働けて、QOLも高い科でもあります。
QOLが高くて訴訟リスクも低い科がいいという方におすすめです。
10位 皮膚科 医師1000人あたり訴訟件数1.0件
皮膚科も訴訟リスクは低いです。やはり手術がない診療科は訴訟リスクが低くなっています。
しかし、訴訟がないわけではありません。
いくつか裁判事例を紹介します。
また、皮膚科は女性医師が最も多い科で、QOLも高い科となっています。
9位 眼科 医師1000人あたり訴訟件数1.1件
眼科は手術も少ないですし、重症例が少ないためなのか訴訟リスクはかなり低いです。
医療事故によると、眼科での医療訴訟は、白内障手術、網膜剥離などの手術、緑内障の診断遅れ、説明不足などによって起こるとされています。
8位 泌尿器科 医師1000人あたり訴訟件数1.3件
泌尿器科は訴訟リスクがかなり低いです。
重症例が少ないのでしょうか。
それとも、男性生殖器に関する疾患を扱うことも多いので、公に訴訟をするのに心理的抵抗があるのかもしれません。
7位 耳鼻咽喉科 医師1000人あたり訴訟件数1.5件
耳鼻咽喉科はも訴訟リスクが低い診療科です。
やはりマイナー科といわれる皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科などは訴訟リスクが内科や外科よりもかなり低くなっていますね。
マイナー科は重症例が少ないからかもしれません。
訴訟リスクが少ない診療科がいいという方はマイナー科を選ぶのがいいでしょう。
6位 内科 医師1000人あたり訴訟件数1.9件
内科の訴訟件数は普通くらいだと思います。
医師をしていたらどうしても訴訟されるリスクをゼロにすることは難しいです。
内科では重症例も多く、早急で正しい判断を求められることが多いですからね。
多くの内科医がヒヤリハットの経験があるそうです。
100%確実に診断して完璧に治療することなんて人間には不可能ですからね。
訴訟事例② 糖尿病の有無を確認せずにステロイド注射を行った事例
5位 精神科(神経科) 医師1000人あたり訴訟件数2.0件
外科系以外の診療科で最も訴訟リスクが高いのは精神科です。
訴訟は、患者さんが医師に対して強い不満を抱いた結果として生じます。
精神科にくる患者さんは精神的に不安定な患者さんもたくさんいることから訴訟に発展する可能性が高いのでしょう。
意外と精神科って楽そうに見えてリスクが高い診療科といえるのかもしれませんね。
4位 整形外科 医師1000人あたり訴訟件数3.4件
外科で訴訟リスクが最も低い診療科は整形外科です。
リスクの高い手術が少ないのでしょうか。
整形外科で訴訟件数が少ない理由は不明です。
3位 外科 医師1000人あたり訴訟件数4.1件
訴訟リスクが高い診療科3位は外科です。
外科は手術を行うので訴訟リスクが高くなりがちですが、形成外科や産婦人科よりは低くなっています。
これは、待機手術の場合、インフォームドコンセントにより手術リスクが前もって患者さんに伝えられているからでしょう。
ある程度患者さんも覚悟をした上で、手術に臨むので結果が悪くても訴訟に発展することは少ないと考えられます。
2位 産婦人科 医師1000人あたり訴訟件数4.8件
産婦人科は訴訟リスクが2番目に高い診療科でした。
子供を産むということは実は命をかけた行為ですが、一般の方にとっては元気に産まれてきて当然という考えがあるのでしょう。
子供を産むというのは人生の一大イベントです。
子供ができたことで気持ちが高ぶっている中で、問題が起きるとその落差から強い感情を人間は抱くのかもしれません。
そのため、何か問題が起こったときに訴訟に発展しやすいのでしょう。
産婦人科での医療訴訟としては福島県立大野病院産科医逮捕事件があまりに有名です。
この事件によって産婦人科医は激減しました。
最終的には医師は無罪となりましたが、日常的な診療業務で医師が逮捕されたことが大きな衝撃だったことはいうまでもありません。
1位 形成外科 医師1000人あたり訴訟件数7.1件
訴訟リスクが最も高い診療科は形成外科でした。
形成外科は美容整形外科も含むからだと思います。
美容整形外科では、見た目をよくするために手術を行うので、結果に対する期待が当然高くなるのです。
しかも、患者さんが気に入らなければ「こんなはずじゃなかった」と簡単に訴訟に発展します。
美容整形をするくらいなのでお金に余裕のある患者さんが多く、訴訟をするお金もあるからだとも考えられます。
また、金儲け主義で患者さんを半ば無理やり整形をするように促す医院もあるようです。
訴訟件数は外科系の中でもとびぬけて高いですね。
結果を事前にコンピュータでシミュレーションをするのでしょうが、やはりやってみないと実際にどうなるかはわからないものです。
美容整形はしなくても命にはかかわらないことなので、できればしないようにした方がいいと個人的には思います。
まとめ
訴訟リスクが高い診療科の上位は予想通り外科系が占めることになりました。
1位から4位はすべて外科系です
これでもアメリカに比べると日本の医師の訴訟リスクは件数だけで比較しても1/16以下となっています。
なので、アメリカと比べると全然訴訟リスクは低いということは理解しておいてくださいね。
外科的に疾患を治すのはリスクと引き換えによってはじめて可能となるのです。
そのリスクを冒して患者を治そうとする外科医は尊敬に値します。
外科医がこれほど訴訟されるのはおかしいのではないでしょうか。
手術前により患者さんに手術リスクを説明してリスクについてちゃんと理解してもらうなど訴訟を防止するための施策をもっと行うべきだと思います。
また、意外だったのが精神科の訴訟リスクが外科系以外の診療科でトップだったことです。
精神科が楽そうだと思って、精神科を選んでしまうと思わぬところで大変な思いをすることになるかもしれません。
訴訟リスクが高い診療科ランキング
順位 | 診療科目 | 医師1000人あたり訴訟件数 |
1位 | 形成外科 | 7.1 |
2位 | 産婦人科 | 4.8 |
3位 | 外科 | 4.1 |
4位 | 整形外科 | 3.4 |
5位 | 精神科(神経科) | 2.0 |
6位 | 内科 | 1.9 |
7位 | 耳鼻咽喉科 | 1.5 |
8位 | 泌尿器科 | 1.3 |
9位 | 眼科 | 1.1 |
10位 | 皮膚科 | 1.0 |
11位 | 麻酔科 | 0.6 |
12位 | 小児科 | 0.3 |