ハンガリー大学医学部って聞いたことありませんか?
ネット上の広告でよく宣伝されているのをよくみかけますよね。
実は医師になるためには、海外医学部に進学する道もあるんです。
この記事では、ほんとうに海外医学部に入学して医師になることができるのか?
そして、学費、成功率などを調べていきたいと思います。
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目次
海外医学部ってなに?
ハンガリー、チェコ、北京などの少し後進国の医学部へ進学して、その国の医師国家試験に合格した後、日本の医師国家試験を受験して日本の医師になるという道がひらけつつあります。
だいたいどこの海外医学部もカリキュラムは似ています。
まず、1年程度の予備コースで英語と高校レベルの生物、化学、物理を英語で学び、医学を
学ぶ下地を作ります。
その後、6年生の医学部本コースに進学するという形になっています。
なので、最短で7年で卒業が可能です。
また、7年間でかかる費用は、学費や生活費をすべて合わせても1800万円と
日本の私立医学部に進学するコストの半額以下で進学できるんです。
そんなにメリットばかりじゃないんですけどね。
デメリットは後述します。
チェコ国立マサリク大学医学部
北京大学医学部
ざっと調べたところ、ハンガリー、チェコ、北京で受け入れを行っている大学がありました。
どのサイトでも
「これからは国際派の医師の時代だ!」
なんて書かれていますが、海外医学部で学び、日本の医師国家試験に合格するまでにどれだけの時間がかかり、実際入学した人の合格率がどれくらいかというのはどこにもふれられていませんでした。
これより、それらの疑問点を調べていきたいと思います。
海外医学部に進学するリスク
○ 最近、卒業後に日本の医師国家試験の受験資格が得られる旨認可を厚生労働省から受けていること等を示して、外国の医学校への入学を勧誘する広告を行っている例が見受けられますが、厚生労働省は、外国の医学校を卒業した方から、医師国家試験の受験資格認定の申請があった後に、当該申請者個々人の能力や、当該申請者が受けた教育等を審査することとなっており、海外の医学校等に対し、当該医学部の卒業生への医師国家試験の受験資格を一律に認定することはありません。
○ このため、こうした外国の医学校等を卒業されても、日本の医師国家試験の受験資格が認められないことが十分想定されますのでご注意下さい。
厚生労働省によると、外国の医学部を卒業した方からの受験資格認定の申請は個人ごとに行うので、必ず受験資格が与えられるとは限らないと書いています。
外国の医学部を苦労して卒業しても日本の医師国家試験が受験できないならば、膨大なお金と時間の損失ですよね。
日本の医師国家試験の受験資格認定について
(1)医師国家試験受験資格認定
書類審査及び日本語診療能力調査の両方の認定基準を満たした者に対して医師国家試験受験資格認定を行う。
書類審査(申請締切:3月末又は7月末)
↓
日本語診療能力調査(10~11月頃)
↓
医師国家試験受験資格認定 ↓
医師国家試験 (2月頃)(2)医師国家試験予備試験受験資格認定
書類審査の認定基準を満たした者に対して医師国家試験予備試験受験資格認定を行う。医師国家試験予備試験受験資格認定を受けた者は、その後医師国家試験予備試験を受験し、同試験に合格してから、更に1年以上の診療及び公衆衛生に関する実地修練の後に、医師国家試験が受験可能になる。
書類審査(申請締切:7月末又は3月末)
↓
医師国家試験予備試験受験資格認定 ↓
医師国家試験予備試験(6~11月頃)
↓
1年以上の実地修練
↓
医師国家試験 (2月頃)
海外医学部を卒業して、日本の医師国家試験の受験資格を得るには、2つのルートがあります。
1つ目は、書類審査と日本語診療能力調査をパスすることです。
2つ目は、書類審査の後、医師国家試験予備試験を受験し、1年以上の実地修練を行うこととなっています。
ハンガリー国立大学医学部の卒業生は、1つ目の書類審査と日本語診療能力調査を通ることで受験資格を得ていますね。
大学や個人によっても受験資格が得られるかは変わってくるので注意してください。
海外医学部の卒業生の医師国家試験合格率は?
ハンガリー国立大学医学部卒業生
年度 | 卒業数(帰国) | 受験資格認定数 | 医師国家試験合格数 (日本) | 合格率 |
2014 | 6 | 6 | 4/6 | 66.6% |
2015 | 13 | – | 13/15 | 86.7% |
2016 | 13 | – | 9/14 | 64.3% |
海外医学部で1番有名なハンガリー国立大学医学部のデータです。
やはり医師国家試験の合格率は、毎年バラつきがありますし、平均合格率(90%)に
比べると低いですね。
しかし、海外医学部で英語で医学を学んでこれだけの人数が合格できたっていうのは
ほんとうにすごいことだと思います。
英語で医学部を学ぶのが、どれだけ大変だったかがわかるので、ほんとに尊敬しますね。
後述しますが、認定や予備試験による受験者の医師国家試験合格率の平均が50%前後なのと
比べると、かなり高い合格率であるといえますね。
認定や予備試験での受験者の医師国家試験合格率
年度 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2014 | 109 | 108 | 48 | 44.4% |
2015 | 117 | 112 | 61 | 54.5% |
2016 | 122 | 118 | 63 | 53.4% |
認定や予備試験で受験した人の医師国家試験のデータによると
例年合格率は50%前後です。
受験者も100人ちょっといるんですね。
僕はこれだけ合格するのもすごいことだと思います。
やはり、英語で医学を学んだあと、また日本語で学びなおすっていうのが相当大変な
事なんだということがうかがえますね。
海外医学部進学についての感想
海外医学部について、かなり詳しく調べてみた感想なんですが
海外医学部にいって医師になるのは、かなりの狭き道だと思いました。
ハンガリー大学でも、現在毎年、4校で合わせて92名ほどの定員があるんです。
2016年の卒業生が13人とのことですが、はたして入学者は一体何人だったんでしょうか?
日本の医学部は入るのは難しいが、入ったら楽といわれるのと反対に、
海外医学部は入るのは簡単だが、卒業が大変といわれています。
だいたい海外医学部に行く人というのは、日本の医学部に学力が足らずに入れなかった人が多いと思います。
そういう方が、日本の医学部よりも進級がきつい海外医学部で、しかも英語で勉強するんですから、卒業がいかに大変かは想像に難くないでしょう。
留年率もかなりたかいでしょうね。
だいたい、海外医学部では3分の1の法則があるんです。
3分の1がストレートで卒業するが、3分の1が留年、3分の1がやめるということです。
なので、実際入学しても1年くらいは留年する人が多いんではないでしょうか?
そうすると、予備コースが1年あることも考えると、
卒業までにおそらく8年はかかることになります。
その分学費もかかるので、結局日本の私立医学部の学費に近くなってくるものだと思います。
さらに、日本の医師国家試験の合格率も平均50%前後なので、合格までに2年はかかると考えた方がいいかもしれません。
すると、日本の医師国家試験に合格するまでに現実的に合計で10年かかるということになります。
しかし、日本の医学部に合格できない方にとっては、チャンスがあるということでもあります。
海外で10年近く勉強付けの毎日をすごす覚悟を本気でもっている方であれば、挑戦する価値があるかもしれません。
やはり、海外で医学を学ぶのは大変ですが、英語で医学を学べるというのは大きなチャンスでもあります。
実習も多いので、日本の医学部よりも多くの手技を学ぶことができるかもしれません。
しかし、繰り返しますが、本気の覚悟がある方だけ挑戦すべきだと思います。
途中でやめたら意味ないですからね。
ただ、それだけの覚悟があれば日本の医学部にも入れるとは思いますが。