東大と医学部どっちに行くべき?年収・働き方・学びたい分野から考える

この記事でわかること

東大の医学科以外の進路と医学部を、収入の比較方法・専門性・働き方・学びたい分野から考えます。筆者の知人の再受験談と、当時の年収表も位置づけを明確にして残しています。

制度・出典確認:2026年10月12日。筆者の体験・当時の考察と、現在の確認事項を分けて紹介します。

東大と医学部のどっちに行くべきか?

成績上位層の進路として、東大と医学部を比較する話をよく聞きます。

私も2018年にこの記事を書いたときは、医師免許と仕事の安定性に強く魅力を感じていました。ただ、「成績のよい人はみんな医学部へ行く」と一般化することはできません。

今回は東大と医学部のどっちに行くべきかをテーマにお話をさせていただきます。

なお、東大にも医学部があります。この記事では、主に東大の医学科以外の進路と、医師を目指して医学科に進む道を比べます。東大では前期課程から後期課程への進学選択があるため、大学名だけでなく進みたい学部・学科まで考えておきましょう。

参考:東京大学・進学選択に関する情報

東大と医学部を比較するときの確認点
考えたいこと東大の医学科以外の進路医学科への進学
何を学びたいか希望する学部・学科の授業、研究室、進学条件を確認医学を学び、患者さんに接する仕事への関心を確認
研究に進みたいか研究分野と大学院までの進路を確認臨床だけでなく、基礎医学などの研究を学べる環境を確認
働き方をどう考えるか希望する職種の仕事・必要な技能・勤務条件を調べる免許取得と研修、その後の診療科・勤務先の条件を調べる

医学部にも研究者を育成する教育があります。例:東京大学医学部・教育について。研究か臨床かという希望も、大学選びの大切な軸です。

東大と医学部の年収比較で注意したいこと

東大と医学部のどっちに行くべきかを考えるためにポイントとなるのが年収です。
いくら高い志を持っていようが、生活をして行くことができなければどうしようもありませんから。

元の記事では、東大卒と医師の平均年収を比べていました。
2018年の執筆時に紹介した数字は、東大卒631.5万円でした。現在の年収相場として再確認した数字ではありません。
参考 「学歴別」平均年収ランキング

一方、当時の記事では、勤務医全体の平均年収として1,098万円を紹介していました。ただし、医学部卒業生が全員医師になるわけではありません。
参考 医師の平均給与・平均年収

当時引用した数字を残すと、次のようになります。「出身大学による集計」と「職業による集計」で対象が異なり、年齢・調査時点などの条件も揃えていないため、この表からどちらに進学すべきかは判断できません。

2018年の記事で引用した数値(現在の比較データではありません)
勤務医全体として紹介東大卒
平均年収1098万円(勤務医全体) 631.5万円

元の記事ではこの数字を割って「約1.7倍」と書きましたが、異なる集団の単純比較でした。開業医の収入も、勤務医の給与とは事業経費などの扱いが違います。
年収を重視するなら、希望する職種・勤務先・働く時間を揃えて考える必要があります。医学部に進めば一定額を必ず稼げるという意味ではありません。

収入は大切ですが、それだけでは進路の良し悪しは決まりません。
では、転職や働き方の側面からはどう考えればよいのでしょうか?

 

安定性と専門性|医師免許だけで決まるのか

私が医学部を選ぶ利点として重視していたのは、医師という専門職を目指せることです。
ただし、卒業だけで医師免許が得られるわけではありません。医師法第2条・第6条では、国家試験合格と免許・医籍登録について定めています。
元の記事には「仕事に困らない」「アルバイト時給1万円」と書きましたが、求人や報酬は地域・診療科・経験・勤務条件で異なります。資格は強みになっても、希望する働き方や収入を保証するものではありません。

一方、東大卒だからといって希望する企業や仕事に就けるとは限りません。
私の知り合いにも、就職や収入が当初の希望どおりにならなかった人が何人もいます。これは私の周囲の経験で、東大卒全体の進路を示すものではありません。
東大でも専攻に応じた専門性を学べますし、企業規模だけで仕事の価値や満足度が決まるわけでもないと思います。

なので、医療への関心があり、専門職として働きたい方にとって、医学部は検討する価値のある選択だと思います。

 

 

医師の働き方と負担も知っておく

医師を目指すなら、やりがいとともに、仕事の負担も知っておきたいところです。
元の記事では、当直明けも通常業務を続ける「36時間連続勤務」など、当時問題になっていた長時間労働を取り上げました。すべての医師が同じ勤務をしている、という意味ではありません。
2024年4月には医師の働き方改革の新制度が始まっています。現在の制度は厚生労働省「医師の働き方改革」で確認できます。見学先でも当直回数、休息、勤務時間の実態を聞いてみましょう。

患者さんの安全に関わる仕事なので、大きなプレッシャーがあり、精神的、肉体的、共に負担を感じる場面もあるでしょう。
労働時間も含め、求められる仕事の量や質と報酬のバランスを考えると、割に合わないと感じる人もいます。

なので、ただ単に高年収、安定しているから医学部に行こうというのはやめた方がいいのです。
人の命を救いたい、人の役に立ちたいといった自分の気持ちと、学び続けられる分野かどうかも考えておきたいと思います。

 

 

出産・育児などと仕事を両立できるか

元の記事では「女子は東大と医学部のどっちがいいか」と考えました。今は、性別だけで進路を分けるのではなく、自分が望む生活と仕事を両立できる環境を確かめたいと思います。

当時紹介した2018年の女性研修医の投稿には、医師として働くことと自分の生活との両立に悩む個人の声がありました。こうした困難を軽視せず、かといって一人の体験を女性医師全体に当てはめないことが大切です。

現在は、厚生労働省の女性医師離職防止・復職支援の案内があり、相談や復職研修などの支援が紹介されています。利用条件は各窓口で確認してください。

「医学部女子の3分の1は離婚、3分の1は独身」という話も元の記事で紹介しましたが、裏付ける調査を示しておらず、結婚や進路の判断材料にはできません。医学部女子「3分の1の法則」の記事でも、この話とデータを区別して考えます。

医学部でもそれ以外でも、育休・短時間勤務・復職支援が実際に利用できるか、家族や周囲とどう協力できるかを確認しましょう。資格の有無だけで両立のしやすさは決まりません。

 

結局東大と医学部のどっちがいいか?

私は、医師になりたい気持ちがある人には医学部をすすめたいと思います。ただし、東大の医学科以外の進路より誰にとっても優れている、とはいえません。

東大にも医学部にも、大学名だけでは決まらない進路があります。興味のある研究・仕事に近づけるのはどの学部か、そのために何を学ぶ必要があるかを比べてみてください。

実際、私が所属していた医学部には、東大卒で入ってきた人がたくさんいました。
東大卒業後、10年以上経った後でも医学部を選ぶ人がいることに、私は医師という仕事の魅力を感じました。
東大を出て、就職が思うようにいかず医学部に来たという知り合いもたくさんいます。ただ、それぞれの動機や事情は違いますし、その選択が全員に合うとは限りません。

年収の期待だけでなく、学びたいこと、仕事への関心、入学後にかかる費用や時間まで考えて選んでほしいと思います。

自分を「凡人だから」と決めつける必要もありません。医療への関心があるか、別の分野でやってみたいことがあるかを、まずは自分の言葉にしてみましょう。

 

 

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