
医学部は多浪や女性は不利という説があります。私も受験生時代はネットや人から聞いたことがありました。
この記事は2018年7月に書いたものです。当時の問題意識である「多浪生の入学後の勉強」「男女別の入試結果」「医師の育児と仕事」を残し、2026年10月に公式資料を確認して補足しました。
先に結論を書くと、過去に不適切な得点調整が確認されたことと、現在の個々の受験生が不利かどうかは分けて考える必要があります。性別や浪人年数だけから、学力・適性・合格可能性を決めつけることはできません。
医学部の多浪・女性への不利な扱いは過去にあった?
文部科学省の2018年12月の緊急調査では、医学部入試で性別や現役・浪人の別による不適切な得点調整などが確認されました。これは単なる噂ではなく、公式調査で明らかになった過去の問題です。
出典:文部科学省「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査・最終まとめ」(2018年12月14日)。
以前の記事では、多浪生を不利に扱うことを「学校側の立場では仕方がない」と書いていました。しかし、本人の能力を見ずに属性だけで評価を決めることを正当化する説明としては適切ではありませんでした。
一方で、この過去の調査から「今もすべての大学で同じ扱いがある」と結論づけることもできません。志望校の最新の募集要項、選抜方法、面接の評価項目と公式の入試結果を確認しましょう。
多浪生は医学部の授業についていけない?
医学部の授業は、みなさんが想像している以上に大変だと私は感じました。膨大な範囲のテストを要領よくパスしていかなければいけません。入学後の勉強について心配する気持ちは分かります。
ただし、浪人年数だけで「授業についていけない」「留年しやすい」とは判断できません。以前の記事では受験の年数と進級の難しさを結びつけていましたが、その因果関係を示す根拠は挙げられていませんでした。
入学後の学習を見据えるなら、今の勉強で理解が不足しているところを見つける、復習を継続する、困ったら相談する、といった実際の行動を考える方が役立ちます。
多浪生と再受験生の経験はどう考える?
元の記事では、5浪のAさんと、別の大学を卒業した再受験生Bさんを例に挙げました。Bさんには他分野の知識や大学での経験があるかもしれません。
しかし、それだけでBさんの方が優秀、Aさんの方が劣るとは言えません。浪人中に何を考え、どのように学習を改善したかにも、その人の経験が表れます。面接では他の受験生と経歴を比べ続けるより、自分の経験から医学を志した理由を言葉にしておきましょう。
医学部の女性入学者はどのくらい?2025年度の公式データ
2026年10月確認時点で文部科学省の一覧に掲載されている最新の全国集計は、2025年度(令和7年度)の入試データです。女性の入学者は3,780人、全入学者9,218人の41.0%でした。編入学は含まれていません。
| 区分 | 女性入学者の割合 |
|---|---|
| 国立大学 | 38.2% |
| 公立大学 | 32.8% |
| 私立大学 | 46.4% |
| 全体 | 41.0% |
同じ集計の合格率は、男性12.3%、女性10.4%です。こちらは「合格者数÷受験者数」であり、入学者に占める割合とは異なります。この集計の差だけで、不適切な扱いの有無や個人の合格可能性は判断できません。
出典:文部科学省「各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等」(掲載ページ、2026年1月22日差し替え版)。
以前は「医学部生の3分の1が女性」「女性不利はほぼない」と書いていましたが、在学生とその年の入学者を分け、数字だけで選抜の公平性まで結論づけないよう修正しました。
医師を目指す女性への関心について、当時考えたこと
2018年の記事では、『ドクターX』や『コード・ブルー』で活躍する女性医師の姿に触れ、女性の医学部志望者が増えるのではないかと私は考えていました。医療ドラマが進路を考えるきっかけになる人はいるでしょうが、入学者の増減の原因を示した調査ではありません。
当時は、小学校卒業生への「将来就きたい職業」の調査で女子の1位が医師、男子の1位がスポーツ選手だったという2018年7月の報道も紹介していました。これは当時の小学生の回答で、現在の医学部受験生の調査ではありません。
女性の方が真面目だから医学部入学者の過半数になる、という以前の予測にも裏づけはありませんでした。勉強への取り組み方は性別で決めず、一人ひとりを見ることが必要です。
医師の育児と仕事の負担は、入試とは分けて考える
元の記事では、育児への配慮を受ける医師がいる一方で、他の医師に勤務の負担が集中することを心配していました。
2018年7月には、同じ幼稚園に通う子どもを持ちながら、自分は休日の診療を多く担い、子育てへの参加が難しいという医師の投稿や、職場の勤務分担についての続きの投稿を紹介しました。また、医療提供体制をどう支えるかを心配する別の医師の投稿にも触れました。いずれも当時の個別の意見で、現在の医師全体の実態を示す統計ではありません。
誰かの負担を軽くするために、誰かが犠牲を払うシステムは長くは続きません。この問題意識は今も大切だと思います。ただし、育児や介護、病気などへの支援と勤務分担は、性別にかかわらず考える職場全体の課題です。女性の入学を制限する理由とは分けて考える必要があります。
不安があるときに受験生が確認したいこと
- 募集要項:受ける年度・選抜方式の出願資格、卒業年度や地域枠の条件を確認する。
- 公式データ:志願者、受験者、合格者、入学者のどの人数なのかを区別する。
- 面接の準備:浪人や再受験に至った経緯、勉強を改善した点、医師を目指す理由を説明できるようにする。
- 不明点:ネットの噂だけで判断せず、大学の入試担当窓口に確認する。
