医学部の留年率は高い?進級・卒業・国試合格の数字と体験談

この記事でわかること

「ストレート合格は3分の1」は全国の割合ではありません。筆者の学生時代の実感を残し、文科省の卒業率と国試合格率の違いを説明します。

制度・出典確認:2026年10月11日。学生生活の描写は筆者の在学当時の体験です。

医学部の留年について、筆者が医学生だった当時の体験を振り返ります。

医学部に入る難しさは有名ですが、入学後も試験や実習を重ね、卒業・国家試験へ進んでいく必要があります。私は進級へのプレッシャーを強く感じていました。

ただ、国家試験合格率が高いことだけでは、入学者の何割が6年間で卒業したかはわかりません。進級率・卒業率・国家試験合格率は、対象者と分母が違う数字だからです。

この記事では、当時の体験と公表資料を分け、数字の見方を整理します。

私が学生時代に感じた、留年への不安

私には、医学部は留年が身近にある環境だと感じられました。

当時の記事では「自分の所属する医学部の5年生のうち、40〜50%が留年生」と書いていました。ただし、これは当時の私の周囲についての把握で、大学が公表した統計や、同じ年の入学者を追跡した留年率ではありません。現在の大学や全国の状況を示す数字としては扱えません。

私の周囲には、2回、3回と留年を繰り返す人もいました。

3年生から留年を繰り返し、進級できずに大学をやめていく人もいました。

また、厳しい医学部の生活に耐えかねて、体やメンタルを崩し、退学していった人を何人も見てきました。

以前の記事では大学名を挙げて留年の多さを比較しましたが、年度・定義・出典の確認ができないため、その順位や割合を現在の情報として掲載することはやめました。

文科省の資料では、6年間で卒業した割合はどうなっている?

2026年10月11日に確認した文部科学省の公表資料(令和6年度の状況)では、令和元年度入学者の卒業状況と、第119回医師国家試験の新卒者の合格状況が、別の欄に示されています。

指標(全大学計)人数・割合何を表すか
最低修業年限での6年次進級8,201人/9,451人=86.8%令和元年度入学者(編入学を含む)の6年次進級状況
最低修業年限での卒業8,076人/9,451人=85.5%同じ入学者集団の最低修業年限での卒業状況
第119回国家試験・新卒合格8,840人/9,238人=95.7%修業年限を超えて卒業した人も含む、新卒受験者の合格状況

資料掲載の令和6年度の値です。2026年実施の国家試験結果ではありません。国立・公立・私立の81大学についての表の合計を使用しています。

85.5%の裏返しを、そのまま「留年率14.5%」とは呼べません。休学・退学など、最低修業年限で卒業しなかった理由はこの表だけでは分けられません。また、新卒の国試合格率95.7%は異なる集団の数字なので、85.5%に掛けても、同一入学者の「ストレート国試合格率」にはなりません。

大学を比べるときは、同じ年度・同じ指標で見ることが必要です。一つの年度だけで、教育の良し悪しや入学後の自分の進級を決めつけることもできません。

「ストレート国試合格は3分の1」という話は全国の数字?

元の記事で紹介したのは、文春オンラインの2018年の記事に登場する、ある大学についての証言です。全国の医学生を集計した割合ではありません。古い一例を、現在のすべての医学部に当てはめないようにしてください。

医学部留年で大学を退学になる人もいる?

進級できない状態が続くと、在学期限などの規程に関わる場合があります。期限や再履修の扱いは、所属大学の学生便覧・学則で確認してください。

医学部に入る学力があるのにもかかわらず、留年を繰り返して、せっかくの医師になる夢をあきらめざるをえない人がいるのです。

本当にかわいそうに思います。

私は当時、せっかく医学部に入った学生が何度も留年し、進路を断念することに、強いもどかしさを感じていました。その気持ちは元の記事の大事な部分です。

一方で、入試に合格したことだけで、医療に必要な知識・技能・態度が身についているわけではありません。基礎医学や実習での学びも、医師になるために必要です。国家試験だけで、学内の評価をすべて置き換えられるものでもありません。

だからこそ、評価基準がわかること、つまずいた学生が補習や相談につながれることが大切だと思います。年齢だけを理由に「後戻りできない」と決めず、続け方や別の進路も含めて相談してほしいです。

ここからは、元の記事で考えた5つの論点を、進級につまずく背景として整理します。全国の留年原因を調査して順位づけしたものではありません。

進級につまずく背景として考えたい5つのこと

① 入学後に求められる学びへの適応

元の記事では、定員増加や推薦・地域枠を「学生の質の低下」と結びつけていました。しかし、その入試区分が留年の原因だと示す資料は確認できていません。一般選抜か推薦かだけで、個人の学力や進級を判断することはできません。

受験に合格していても、大学で扱う分量や学び方に戸惑うことはあります。入学後の授業に合わせ、理解を確認し、苦手な内容を早めに相談することを考えたいところです。

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② 必修科目と進級条件の厳しさ

医学部では、同級生と同じ時間割で必修科目を学ぶ場面が多く、苦手だからと別の科目に替えにくいことがあります。

私の周囲にも、必修科目の再履修で進級が遅れた人がいました。たった一つの科目が進級に大きく影響することは、強いプレッシャーでした。

ただし、「1回の試験不合格で即留年」「再試験は教授の気分で決まる」と、すべての大学を一律には説明できません。再試験、補習、再履修、進級判定の条件を、学生便覧・シラバス・学務窓口で確認してください。

これは、かなりのストレスでした。

当時、私はなんとかストレートで進級していましたが、留年しかかったことは何度もありました。

③ 学ぶ範囲の広さと、学習時間のやりくり

医学部で学ぶ範囲は広く、私も出席、試験対策、実習を並行する負担を感じていました。先生から昔の学生生活の話を聞き、今とは違うと感じたこともあります。

ただ、元の記事の「ここ数年で知識量が何倍にも増えた」という表現は、測定した数字ではありません。現在のモデル・コア・カリキュラムでは、内容の整理や、知識だけでなく技能・態度を含めた学びも示されています。

科目数だけでなく、授業の理解、実習の準備、復習に必要な時間を見積もり、試験が重なる前から取り組むことが大切だと思います。

④ 試験の難しさや評価基準への不安

私には、重箱の隅をつつくように感じられる試験もありました。何をどこまで学べばよいか見えないと、勉強しても不安が残ります。

元の記事では教授一人が自由に留年を決めるように書いていましたが、大学ごとの判定手続きや相談制度を確認せず、全国共通の仕組みとして断定することはできません。

評価に疑問があれば、シラバスの基準、採点結果の照会方法、教務への相談手続きを確認してみてください。気になる点を具体的に整理して伝えることが大切です。

⑤ 学習態度や倫理と、支援の必要性

医師は人の命に関わる職業なので、知識だけでなく、責任ある行動や患者さんへの配慮を学ぶ必要があります。

ただし、「やる気を出させるために留年させる」と教員の意図を推測しても、原因の説明にはなりません。学習の遅れ、体調、生活や人間関係など、本人が困っていることを確かめ、適切な支援につなぐことも重要だと思います。

進級が心配なときに確認する順番

  1. 学生便覧で、進級条件と在学期限を確認する。
  2. シラバスで、出席・課題・試験の評価方法を確認する。
  3. 再試験・補習・再履修の期日と手続きを学務窓口に聞く。
  4. 学習面の相談と、体調・生活面の相談をそれぞれ必要な窓口につなぐ。

留年への不安は、私にもあったものです。数字だけで怖がらせるのではなく、今の自分に必要な確認と相談へつなげられる記事にしたいと思います。

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